自己効力感と自己否定感
「自己効力感」という言葉をご存知でしょうか。
Wikipediaで調べると、「自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるかという可能性の認知。 」という説明がされてますが、もっと簡単に言えば、何かをやろうとする時に、「自分にはやれる」という気持ちを持っているかどうか(どの程度持っているか)ということです。
自己効力感が無ければ、やってみたいと思うことがあっても、「どうせ自分には無理」とか、「私にはできっこない」といった気持ちを抱いて、行動することが出来なくなってしまいます。
自己効力感が無いと、どうしてもすぐに「自分はダメなんだ」という気持ちを抱いてしまいがちですから、自己効力感の無さというのは、自己否定感に直結しています。
自己効力感を持てない原因
自己効力感を持てなくなってしまう原因というのは、ビックリするくらい早い時期から生じています。
赤ちゃんに出来ることは、泣くことと笑うことくらいです。
お腹がすいてミルクが欲しい時には泣いて伝えるし、暑くて不快な時にも泣いて伝えるし、ウンチが出て不快な時にも泣いて伝えます。
自分では何もできないし、言葉で伝えることも出来ませんから、ただひたすら泣いて伝えるだけです。
泣いたらすぐにお母さんがやってきて、ミルクを飲ませてくれたり、少し涼しくしてくれたり、オムツを変えてくれたりすると、安心して笑顔になったり、スヤスヤ眠ったりします。
自分が泣くという行為(働きかけ)をすることによって、自分の不快感が取り除かれることで、自分の働きかけが自分の望んでいる結果につながるという感覚を持つというのです。
この感覚は、まさに自己効力感に他なりません。
泣いても、なかなかお母さんが来てくれなかったら、赤ん坊はさらに大きな声を出して泣きます。
それでも、お母さんがやってきてくれなかったら、どうなるでしょうか?
やがて疲れて泣き止んでしまいますが、このことによって、自分の働きかけ(泣くということ)に対して、何の結果も得られないという感覚を持ち、それが自己効力感の無さ(低さ)に繋がっていきます。
「この子はあまり泣かないから手がかからない」と言ったりしますが、おそらくそれは、泣いてもそれに応えてもらえない(自分の思うようにならない)ということを繰り返して、泣いて働きかけても何にもならないという感覚を持ち、すでに自己効力感が低くなってきているのではないかという気がします。
「自己効力感」と「根拠のない自信」と「自己否定感」
よく「根拠のない自信」という言い方がされます。
ハッキリした根拠はないけれど、自分はうまくいくという気持ちのことですが、この「根拠のない自信」というのは、先ほどお話しさせて頂きましたような、赤ちゃんの時に自己効力感がしっかり形成されたかどうかといったことが、大きな影響を及ぼしているのは間違いないと思います。
自己効力感が低く、自分に「根拠のない自信」が持てない人は、どうしても自己否定感を強く持つようになってしまいます。
自己否定感を克服する方法
では、自己否定感を克服するためには、どうすればいいかということですが、私は本当に効果的な方法は次の二つではないかと思います。
1.アファメーションを繰り返して、自分の潜在意識の中に肯定的なイメージを蓄積させて、自己肯定感を高める。
2.何かを成し遂げることによって自分に自信をつける。
1.につきましては、「楽に続けられて、自己否定感を克服できる方法:アファメーション」のページで詳しく説明させて頂いております。
2.につきましては、詳しく説明するまでもなく、何かをやり遂げるということは、確実に自分に自信をつけてくれますし、それを繰り返して、自分に対する自信をより強いものにしていくのです。
大人になった今、とてもしんどい生き方をしている人というのは、ごく幼い時期の環境や育てられ方が原因で、自己効力感が低くなってしまい、そのために自己否定をしていて、いろんなことがうまくいかないというケースが多いのではないかと思います。
私もそうでしたから、そのしんどさはすごくよく分かります。
ただ、泣き言を言っても何も変わらないどころか、余計に状況が悪くなってしまいます。
過去のことをあれこれ言ってもどうにもならないのですし、本当に大変ですが、いい方向に向かって一歩ずつ進んで行きましょう。